特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

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Workshop

- ワークショップ -

HISTでは例年,ヒューマンインタフェースシンポジウム(HIS)のプログラム中で「若手中心の」ワークショップを企画・開催しています.1997年関西大での開催を第一回目として、年を重ねる毎により多くの方に参加していただいています.

 

 ワークショップの記録

2012年: 九州大学

2011年: 仙台国際センター

2010年: 立命館大学

2009年: お茶の水女子大学

2008年: 大阪大学

2007年: 工学院大学

2006年: 倉敷アイビースクエア

2005年: 慶應大学SFC

2004年: 京都リサーチパーク

2003年: 国立オリンピック記念青少年総合センター

2002年: 北海道大学

2001年: 大阪大学

2000年: 工業技術院つくば研究センター

1999年: 大阪大学

1998年: 東京農工大

1997年: 関西大学

 


2006年: 倉敷アイビースクエア

(企画者:神戸大学 石井裕)

今年のテーマは,バーチャル空間における人とキャラクタとのインタラクションの観点からエージェント・アバタインタフェースについて,システムのコンテキストから見たエージェント・アバタとユーザとの関係性などそれぞれの機能や効果を見つめるということでワークショップを開催した.以下に概略をまとめる.

【静岡大学 土屋直樹氏】
視野を有する空間移動アバタに関する研究をご紹介頂いた.仮想空間にエージェントが存在することで共通の場が構築できる.共通の場が構成されることで,キャラクタに対してこのインタラクション場における役割が生まれるとのご報告であった.アバタはインタラクション場におけるユーザ操作が可能な対象と位置付けられる.

【東工大/国立情報学研究所 鈴木聡氏】
キャラクタは仮想空間にインタラクション環境を生む.その環境においてキャラクタの社会的・身体的反応はユーザとキャラクタとの振る舞いに社会的な関係を与える.ユーザは共有空間におけるインタラクション(時間的相互作用:同期が取れていること)を求めている.インタラクションにおけるキャラクタの役割について,その対話配置が大きく影響を与えている.

【(株)PROPE 唐島一宇氏】
オンラインゲーム開発の観点からエージェントとアバタの扱いに関してご紹介頂いた.ゲームとはキャラクタ操作や行為のターゲットが明確で,ユーザ的視点を重視した設計が行われている.しかしキャラクタに多様な動作を持たせることによる拡張性が,本来のゲーム目的から外れたユーザ間のインタラクションを楽しむ目的で活用されている事例が面白い.

【金沢工業大学 山本知仁氏】
山本氏のみキャラクタを扱わない立場からのインタラクションについてご講演頂いた.コミュニケーションにおける一回性の問題や文脈性の問題についてCG キャラクタを用いる場合の問題提起を頂いた.時間的同期と空間の共有に関して身体性による効果は大きく,効果的な活用が求められている.

ご講演を通じて,バーチャルな空間を使用中,ユーザは「自分」をどこに位置付けるのかという命題に対して,その空間内においてユーザを位置付けるためにアバタは存在しており,インタラクションの観点からはアバタあるいはエージェントとの時間的・空間的同期が重要であるとの共通認識が確認された.会場からのコメントでは,山本氏の一回性問題に通じるゲーム開発におけるTRY&ERRORに関する質問や,キャラクタのリアルさを求める姿勢に対する意見などが出された.

記念すべき10回目のワークショップとしては,かなり偏ったテーマであったかも知れない.しかし,10周年を迎えたHISTの構成員も,次第にそれぞれのポジションを形成しつつあることの表れであると前向きに捉えたい.(参加者:51名)

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2005年: 慶應大学SFC

「学会で出会い系」

(企画者:京都大学 黒田嘉宏 司隆史)

非接触でのデータ入出力を可能とするRFID 技術は人に界面を意識させないインタフェースとして期待されています。一方、RFID タグを人が身につける場合、2005年4月から施行された個人情報保護法により、個人情報をより慎重に取り扱う必要があります。
HIST ワークショップ2005 では、ヒューマンインタフェースシンポジウム2005 会場(慶應SFC)において最先端のRFID タグ(機材提供:㈱マトリックス)によるセッション参加履歴データを利用した出会い支援システム「学会で出会い系」を実体験する場を企画しました。シンポジウム初日(9/15 木)に開かれた ワークショップ「学会で出会い系」では、本出会い支援システムを用いたイベントに加えて、RFID 関連企業の方、弁護士の方をお呼びして、RFID と個人情報に関してお話いただきました。参加者の方に、HIにおける重要な技術となりうるRFID 技術について、実体験し考えていただける機会になりました。

「学会で出会い系」システム(ホームページ)
希望者にRFIDを配布し、学会講演会場に張りめぐらせたアンテナを使って行動履歴を取得、分析結果から出会いを支援しました。学会が開催された3日間全体で行われました。


図:RFIDのトリガーなどが設置された学会講演会場


図:配布されたRFIDタグ(首にぶら下げる)


図:出会い支援情報の提供(他研究者とのマッチング率)

ワークショップではRFIDの技術開発を行っている企業の方から
・(株)トッパンフォームズ 「RFIDと物」
・(株)マトリックス    「RFIDと人」
というタイトルでご講演いただきました。

弁護士 名取伸浩氏からは、「個人情報保護とRFID」というタイトルでRFID技術を個人情報保護法の観点から噛み砕いてお話いただきました。また、システムの結果を使った出会いイベントも行われました

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実体験システム「学会で出会い系」の感想として、「どのような人が自分と同じ興味を持っているか分かった点が良かった」「RFIDタグの応用を知ることができ興味深い企画でした」といったコメントがありました。「個人情報、今回は不安ではなかったが、今後の使われ方については考えさせられた」「やはり行動が監視されるのが気になる」といった実体験企画ならではコメントが得られた点は企画者として嬉しい限りでした。ワークショップでは、「新しい技術をいかに活用するかを考える機会になった」「スペシャリストから話が聞く(見る)ことができた」といった感想が得られました。(ワークショップ参加者:約40名)

協力:(株)マトリックス,(株)トッパンフォームズ,弁護士 名取伸浩氏,京大病院医療情報部 有志(代表:黒田嘉宏(助手)、WEB 担当:竹村 匡正(助手)、実装担当:粂 直人(D2)、司会担当:司 隆史(D1)、受付担当:平井 真(M2)、全 信宏(M2)、WEB 担当:石田 達朗(M1)、金 孝京(M1), 2005年9月現在) (順不同)

 

 


2004年: 京都リサーチパーク

(IT)ファッションステーション

(企画者:京都工芸繊維大学 杉原太郎 村田和義)

近年、携帯電話やPDAに代表される様々な情報機器が日常生活に浸透してきています。ヒューマンインタフェースの分野でも古くからこれら分野の研究が進められおり、最近では特に「ユビキタス」や「ウェアラブル」をキーワードとした研究・開発がひとつの大きな流れを構成しています。本ワークショップでは、これら成果を利用した情報機器を幅広い層のユーザへ訴えるため、またこれらが真の「fashion」となるためにはデザイナやユーザから見た「おしゃれ」の視点を導入する必要があると考え、ウェアラブル機器や携帯情報機器などを
・いかに格好よく着こなすことができるか
・どうやったら格好よく魅せることができるか?
をテーマとしたファッションショーを開催しました。

当日のファッションショーは、エスモードジャポン大阪校の高村さんを中心とした学生によるファッションショー&プレゼンテーション、さらに上田安子服飾専門学校の大江校長によるファッションショー&プレゼンテーションが行われました。

参加者の皆様からは「新鮮だった」「コンピュータに対する新しい見方ができるようになった」等、好評を得ることができました。(ワークショップ参加者:約80名)

エスモードジャポン大阪校による、ヘッドマウントディスプレイによるバイクライダー用ナビゲーションシステムをコンセプトとした作品。肌を黒く塗ることでヘッドマウントディスプレイと服との一体感を上手く演出していました。

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上田安子服飾専門学校による、ウェアラブルファッション作品。他にLEDを大胆に配置した作品や、服と電子ピアノを融合させた作品など多数の作品を発表していただきました。

協力:エスモードジャポン,上田安子服飾専門学校(順不同)

 


2003年: 国立オリンピック記念青少年総合センター

はまるおもちゃ

(企画者:東北大 笠原啓介)

2003 年のHIST企画のワークショップは、前年のワークショップのテーマであった「おもちゃ」に引き続き焦点を当て、3人の方に「はまるおもちゃ」「ヒットするおもちゃ」について講演を行っていただきました。大阪大学の土方嘉徳先生は事前に行ったアンケートのデータを元に、人間はどのようなおもちゃにはまりやすいのかについて分析されました。そして分析結果から、「はまる」ということが男女にとって異なる状態を表していて、それが男女のはまるおもちゃの違いに影響しているようである、と推論しました。京都工芸繊維大学の杉原太郎さんは、はまったおもちゃについての自身の体験から、はまる要因について講演されました。最後に㈱セガトイズの斎藤暁さんは、お茶犬などのヒットしたおもちゃ開発の経緯について講演され、技術ベースでなく消費者ベースでおもちゃを開発することの重要性と難しさについて実際の現場の声を聞くことができました。

 


2002年: 北海道大学

おもちゃの競演

>(企画者:大阪大 土方嘉徳)

 


本ワークショップでは、「おもちゃの競演」というテーマで、ヒューマンインタフェース技術とおもちゃとの接点を探った。今回のメインイベントは、たくさんのおもちゃを一同に展示し、それらを参加者で触れてみることでである。まず、土方から今回のテーマを選んだ背景について発表した。近年のヒューマンインタフェース技術には、使うこと自体が楽しさを持つものがあることを示し、またおもちゃにもIT技術を駆使したものが増えていることを説明した。これらのことは、お互いにフィードバックできるものであるのではと考えた。

 

 


インタフェースをおもちゃの観点から再考してみることに関しては、まず大阪大学の木村朝子先生に、子供向けのおもちゃに関する研究を紹介してもらった。 MITメディアラボの"Toys for TOMORROW"というプロジェクトから、多くの研究事例を紹介した。これらは、子供の創造性を掻き立てるような工夫が見られ、興味深いものであった。プロジェクトの研究員の一人が語る「悪いおもちゃは、ルールに従ってしか遊べないもの」という言葉には、会場の参加者からも賛同が得られた。その次に土方から、大人でも楽しめるおもちゃということで、国内外のTangible Bitに関するサーベイ報告を行った。こちらは、子供向けのおもちゃと異なり、芸術性の高い目で見て楽しいものや、自然の摂理を取り入れて興味を引くようなものが多いと感じた。

 

 


最後に、株式会社エイガアルの中西愛さんに、集めたおもちゃの説明をしていただき、会場の参加者全員で触らせてもらった。メーカーからも最新のおもちゃを貸し出していただき、その傾向として、声に反応し、また声で受け答えするものが多く見られた。やはり声があることにより、おもちゃが生き生きと見えるからではないかと思われた。

 

学会後も、メーリングリストにて活発に議論が続いており、30通以上ものやり取りが行われている。(ワークショップ参加者:約80名)

協力企業:株式会社エイガアル,株式会社タカラ,株式会社トミー(あいうえお順)

当日の講演内容