特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

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投稿案内

論文誌特集
「インタラクションのミニマムデザイン」への論文投稿のご案内
(2013年2月発行予定)

 ヒューマンインタフェース研究において取り扱われるインタラクションは,その現象の要因を解明することを目的とした研究対象ではなく,人間-システム間あるいは人間-人間間のインタラクションを適切に管理することによって達成できる目標状態を創出する手段・方法として位置づけられるのが一般的である.そのため本分野でのインタラクションは,可能な限りシンプルにデザインされていることが望ましい.このような考え方はミニマムデザインに通じるものであり,目的を実現するための手段・方法としてのインタラクションを広くさまざまな領域で適用されるヒューマンインタフェースの設計に汎用的に適用させることで,システムの開発工程の省力化やコストの低減が図ることが可能になる.またヒューマンエラーの発生要因を特定する際にもインタラクションのミニマムデザインは有効に働くことが予想される.さらに表面的には複雑なインタラクションとして観察されているその根底には本質的な原理があり,その原理に基づいてインタラクションが構成されているのであれば,その原理を解明することは工学的な貢献だけでなく,ヒューマンインタフェース研究に限らず他分野の発展にも貢献するだろう.
 ミニマムデザインとは,ある目的の要求水準を満たして実現するために必要となる最小限の働きは何かを発見し,それらの関係を検討し設計する活動である.類似した概念にはミニマルデザインという言葉があるが,ミニマルデザインでは対象固有の審美性や機構のシンプルさを優先し,ヒューマンインタフェースの設計で求められる安全性や利便性,了解性,汎用性,普遍性といった要件は必ずしも重視されないために客観的な評価が困難になりがちである.したがって本特集では,実用的なヒューマンインタフェースの研究において取り扱われるインタラクションの「本質は何か」を究明・模索するミニマムデザインをターゲットとして扱う.
 そこで本論文誌特集号では,ヒューマンインタフェース研究では欠かすことができない観察対象かつデザイン対象であるインタラクションに着目し,期待される要求水準を満たしつつ,ある目的を実現するためのインタラクションの本質的要素を捉えたデザインを実践した研究論文を広く募集する.その中には,俳句や川柳,電文のように限られた自由度の中で心情や状況を表すシンボリックなコミュニケーションも含まれるだろう.また映像や触覚刺激などを利用することによってシンボリックな表現では伝えづらいノンシンボリックな情報の伝達や,それらの中間に位置するピクトグラムやビジュアルアイコン,顔文字などの表現なども本特集号のスコープに入ると考える.その他には,アナロジーや「らしさ」を利用した洞察,学習といった認知科学的問題やインタフェースの機能美といった観点も含まれるだろう.このようにこの特集号でスコープとしている領域は広範に及ぶと考えるため,あえて対象領域を列挙することはしないが,次の要件をなるべく多く満たした研究の成果が多数投稿されること期待したい.

・インタラクションを通して実現する明確な目的が設定されており,その際に満たすべき条件が定義されていること.
・信頼性のあるデータに基づいてインタラクションの本質を見極めるための実践的な取り組みと,綿密な議論が行なわれていること.
・インタラクションが適切にモデル化されていて,研究対象以外の類似した対象に対しても応用可能な汎用性,普遍性が期待できること.
・複雑なインタラクションの根底にある基本原理に基づく振る舞いに注目し,対象とするインタラクションの本質的な働きとは何かを究明していること.
・人間がもつ潜在的な能力や知識を顕在化し引き出すことによって,問題を解決するための方法に焦点を当てていること

論文誌編集委員会

論文投稿締切日

2012年7月31日(火) 必着

特集号編集委員

 上杉 繁(早稲田大学)
 大澤 博隆(慶応義塾大学)
 小川 浩平(ATR)
 片上 大輔(東京工芸大学)
 木村 朝子(立命館大学)
 鈴木 健嗣(筑波大学)
 角 康之(公立はこだて未来大学)
◎竹内 勇剛(静岡大学)
○寺田 和憲(岐阜大学)
 中西 英之(大阪大学)
 水口 充(京都産業大学)
 迎山 和司(公立はこだて未来大学)
 武藤 剛(青山学院大学)
 (50音順 ◎印は編集委員長、○印は副委員長)