特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会
会誌委員会委員長の挨拶
会誌委員会だより
会誌委員会委員長 森本 一成
会誌委員会では特集記事、基礎講座、実戦講座、技術展望などの企画を通じて、会員諸氏に役立つ情報の提供を心がけていますが、ご承知のようにヒューマンインタフェースの研究の守備範囲は非常に広く、極端に言えば人の関係する分野には必ずと言っていいほど研究テーマがあります。従って、学会誌を通して読者にお届け出来る情報には自ずと制約があります。そのような状況にあっても、会誌委員は少しでも読者の要求にお応え出来る紙面にするようにとの気持ちから、日々の情報収集をしています。
様々な分野の人たちに委員になって頂いていますので、委員会が始まると色んなテーマが出てきます。それらを一旦ストックして、様々な学会の情報をキャッチしながら、記事がバッティングしないように、それでいて先進的な記事となるように、その確保に努めています。経験豊富な幹事の方々の会誌業務の舵取りと委員のみなさんのアイデア出しへの熱意には敬服致します。
さて、今後の企画記事の予定を少しご紹介します。
■特集記事:11月号には「アンビエントインタフェース」を予定しています。アンビエントインテリジェンスとかアンビエント情報社会といった言葉に代表されるように、環境のインタフェース技術に関する期待が大きくなってきています。このテーマは次年度2月号の論文特集号にもなっていますので、2回にわたって充実した記事と論文をお届け出来るものと思います。また、2月号では「家インタフェース、家具とインタフェース」の企画が挙っています。住環境と人との安心で安全なインタラクションは欠かせませんし、それでいて楽しいインタフェースが期待されます。また、近年ではエージェントと接する機会が多くなっています。人間とエージェント(擬人化エージェント、ロボット、人間)との間に新たなインタラクションが生まれてきています。このような形態はHAI(Human-Agent Interaction)と呼ばれていますが、どのようなインタラクションを設計すればよいかという課題について5月号で取り上げたいと思います。8月号では、「工業デザインとインタフェース」に関する記事の掲載を企画しています。工業デザインの世界を知ることはヒューマンインタフェースの研究者にとって非常に有用な情報になるとの思いからです。
■基礎講座:次年度の2月号から4回の予定で「音声・音響インタフェース」を企画中です。ヒューマンインタフェースの視点からの音声・音響インタフェースの解説を企画しています。他学会ではできない視点からの解説が期待されます。
■実戦講座:今月号で「脳機能計測の基礎とその応用」(全6回)は終了しましたが、6月29日の新聞報道にありました脳波を使った電動車椅子制御のように、脳波の計測とその応用については急速な進展があり、本特集はそれにマッチしたものであったと思います。なお、次のテーマに関しましては検討中ですので、是非、ご意見やご提案をお寄せください。
■技術展望につきましては、11月号でGRレーダー、2月号で超臨場感をテーマに企画中です。
これらの企画の他に、研究所紹介、ポスドク奮闘記、実践実演奮闘記、留学記ほかを用意しています。実践実演奮闘記ではヒューマンインタフェースシンポジウム2009の対話発表での受賞者に執筆を依頼する予定です。
また、新しい企画として「使ってみよう」コーナー(不定期になると思いますが)を検討中です。これは普段使ってみたいツールがあるが、ちょっとよくわからないとか、こんな便利なツールがあるので紹介したいとかの要望にお応えするものです。次年度5月号ではソフトウェアライブラリARToolKitの使い方をわかりやすく解説する予定です。
このように紹介しますと、すでに多くの企画が決定しているかのように思われるかも知れませんが、会誌委員会は魅力ある会誌の実現に向けて、会員諸氏からの新しい企画の提案や投稿に柔軟に対応致します。会誌委員一同、みなさまからのご連絡をお待ちしております。