特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

ホーム > イベント > HIS2008講習会

 

hi2008_logo.gif
講習会
2008年9月1日(月)

1.ヒューマンインタフェース、基礎の基礎
講師:黒川 隆夫(大阪大学特任教授)

2.心理実験のデータの扱い方-統計分析の基礎-
オーガナイザ: 中村 敏枝(大阪大学名誉教授)
講師:足立 浩平(大阪大学)
宮本 友介(大阪大学)

3.脳機能計測の基礎とヒューマンインタフェースへの応用
オーガナイザ:下田 宏(京都大学)
講師:河野 理(島津製作所)
井上 正雄(島津製作所)
石川 亮宏(島津製作所)
片寄 晴弘(関西学院大学)
高橋 信(東北大学)
三浦 直樹(高知工科大学)

4.無線小型加速度センサを使った行動識別実践講座
講師:納谷 太(国際電気通信基礎技術研究所)
野間 春生(国際電気通信基礎技術研究所)


コース1
「ヒューマンインタフェース、基礎の基礎」

 

1. ヒューマンインタフェース、基礎の基礎

黒川 隆夫(大阪大学特任教授)

このコースではヒューマンインタフェースについての授業を受けたり実務を経験したことのない大学生、大学院生、企業の技術者などを対象として、ヒューマンインタフェースの基礎を講述します。 教科書や参考書が少ないこの分野は自学自習がなかなか難しいのですが、ヒューマンインタフェースとその周辺に関する基礎概念からスタートし、 ユーザビリティ、ヒューマンインタフェースのデザインと評価の考え方までを短時間で学んで頂きます。ヒューマンインタフェースに関心のある方、 ヒューマンインタフェース分野の仕事に就きたいと考えている方にとって有意義な講習になる筈です。

専門分野:認知工学、感性工学、人間工学

主要著書:
ノンバーバルインタフェース、オーム社(1994)
感覚行動相互作用の研究、人工現実感の設計(バーチャルリアリティの基礎2巻)、培風館(2000)
ボディ表現とマルチメディア、自己の表現(マルチメディア情報学10巻)、岩波書店(2000)
マルチメディア、情報・ソフトウェア(機械工学便覧基礎編α7巻)、日本機械学会(2006)

著者略歴:
1971. 3 大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了
1971. 4 大阪大学基礎工学部助手
1987. 4 京都工芸繊維大学工業短期大学部助教授
1988.10 京都工芸繊維大学工芸学部助教授
1990. 4 京都工芸繊維大学工芸学部教授
1998. 4 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授
2006. 4 京都工芸繊維大学名誉教授
2007.10 大阪大学大学院基礎工学研究科特任教授;

kurokawa.jpg


コース2
「心理学実験のデータの扱い方-統計分析の基礎-」

オーガナイザ:中村 敏枝(大阪大学名誉教授)

1. 心理統計解析の基礎

足立 浩平(大阪大学)

心理データから有益な知見を得るために統計解析は不可欠ですが、ソフトウェアの整った現在「ソフトの使い方は知っているが、統計法の原理は知らない」ユーザーも多く、これは「年号と人名は覚えているが、歴史の原理は知らない」ことと同様に寂しいことです。そこで、統計学の原理を平易に伝えることを目指して、心理データ解析の基礎を解説します。まず前半部では、データの標準化や相関・回帰分析を含めて記述統計法を解説した後、最小二乗法と最尤法の原理を説明します。後半部では、標本(データ)からその抽出源である母集団での統計指標値(母数)を推定すること、および、母数に関する仮説の検定を目的とする推測統計法の基礎を解説します。

専門分野:多変量解析・心理統計学・サイコメトリックス

主要著書:
Measurement and Multivariate analysis. Springer (2002年) (分担執筆)
心理統計の技法. 福村出版 (2002年) (分担執筆)
多変量データ解析法 -心理・教育・社会系のための入門-. ナカニシヤ出版 (2006年) (単書)

著者略歴:
1958年 大阪府大阪市生まれ
1982年 京都大学文学部哲学科(心理学専攻)卒業
2003年 立命館大学文学部 教授
2005年 大阪大学人間科学研究科 教授 現在に至る

adachi.jpg

2. データ解析と実験デザイン

宮本 友介(大阪大学)

実験データを手にして、どのように統計解析すればいいのか途方に暮れたことはありませんか。こうした事態を避けるには、データを採取してから解析手法を選ぶのではなく、逆に、どのような分析をすれば説得性が高いかという観点から考えて「実験をデザインする」センスが重要です。本講習では、データ解析と実験デザインの基礎について原理と実践を交えた理解を深めることを目指します。具体的には、データ解析手法として利用頻度の高い平均の差の検定を取り上げ、 t 検定と分散分析の場合について解説する予定です。


専門分野:行動計量学、認知心理学

著者略歴:
2001年 大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程 修了。
2003年 大阪大学大学院人間科学研究科 助手(2007年より 同 助教)。
日本行動計量学会、日本心理学会、日本認知科学会 各会員。




コース3
「脳機能計測の基礎とヒューマンインタフェースへの応用」

オーガナイザ:下田 宏

1. 脳機能計測の基礎


河野 理(島津製作所)

光脳機能イメージング(fNIRS)と機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)について、それらの特徴を述べ、それぞれの計測原理、計測方法および解析方法について説明する。また、実際のいくつかの測定例についても紹介する。


専門分野:脳機能イメージング(fMRI,fNIRS)

略歴:
1986年宮崎大学工学研究科応用物理学専攻修了、同年日立製作所にてMRIの開発に従事。1988年より島津製作所にてMRIの開発に従事。2002年より光脳機能イメージングの開発に従事、京都医療科学技術大学非常勤講師。2005年京都大学大学院医学研究科脳統御医科学専攻入学。2006年より放送大学非常勤講師。

主要著書:
・ Kohno, S., et al. Removal of the skin blood flow artifact in functional near-infrared spectroscopic imaging data through independent component analysis. Journal of biomedical optics 12, 062111 (2007).
・ 河野理、清水公治:SLINKY法とSIMVA法~3次元撮像法における最近 の進歩、映像情報(I)33:114-120,2001
・ 河野理、武尾和浩:機能の描出 放射線医療技術学叢書(18)MRI撮像技術73-81,2000


2. fNIRSによる脳機能イメージング実演

井上 正雄(島津製作所)
石川 亮宏(島津製作所)

光脳機能イメージング装置FOIRE-3000を用いて、実測を行います。課題は、刺激呈示システムを用い、被験者をビデオ同期システムでモニタリングします。測定から解析まで一連の処理の流れや最新のアプリケーションについて説明します。


井上 正雄

専門分野:近赤外光脳機能イメージング装置(fNIRS)

略歴:
1970年島津製作所入社。1975年福岡大学商学部卒。入社後総務にて5年、鉄鋼関連分野の営業を3年、さらに生化学検査機器及び生化学研究分野の営業を20年担当し、その後ライフサイエンス関連機器及びfNIRSの販売促進を経験し、現在専門的に国内でのfNIRSのデモンストレーション等を担当する。

石川 亮宏

専門分野:脳機能イメージング装置(fNIRS, PET)

略歴:
1992年 愛媛大学工学部生産機械工学科卒業, 同年㈱島津製作所入社。入社時より医用機器事業部技術部所属, 医用画像診断装置(主としてMRI,PET,NIRS装置) の開発に従事。

主要著書:
・ Akihiro Ishikawa:Retrospective Respiratory Motion Compensation Under Deep Breathing in Spiral Transmission Scanning of 3D PET, NSS,IEEE, Volume 5, 2006 Page(s):2727 ? 2730
・ Akihiro Ishikawa:Implementation of noise reduction for PET using hybrid nonlinear wavelet shrinkage method,NSS IEEE Volume: 4, 2007Page(s):3000-3003
・ 石川亮宏ほか 水信号抑制技術とRFパルス制御~TACT-FLAIR法とFLASE法~/ 映像情報メディカル増刊 ルーチンクリニカルMRI 2003 BOOK (2002) 産業開発機構



ishikawa.jpg

3. fNIRS計測のヒューマンインタフェースへの応用


片寄 晴弘(関西学院大学)

fNIRSのヒューマンインタフェース領域の応用として、「テレビゲームの熟達レベル」「音楽聴取モードの違い」に応じた脳活動計測事例と虚偽検出への応用について紹介する。


専門分野:音楽情報処理、感性情報処理、HCI

略歴:
1991年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。イメージ情報科学研究所、和歌山大学を経て、現在、関西学院大学理工学部教授。ヒューマンメディア研究センターセンター長。音楽情報処理、感性情報処理、HCIの研究に従事。科学技術振興機構さきがけ研究21「協調と制御」領域研究者。科学技術振興機構 CREST「デジタルメディア(略称)」領域CrestMuseプロジェクト代表研究者。情報処理学会、電子情報通信学会、人工知能学会 会員。

主要著書:
・ 片寄晴弘:マルチメディア情報学10巻、自己の表現、「パフォーマンスのためのマルチメディア情報利用」、pp.67-113, 岩波書店(2000)
・ 片寄晴弘:デザイン情報学入門、「デザインと情報処理」、pp.161-183, (財)日本規格協会(2000)
・ 井口征士、片寄晴弘:マルチメディア情報学4巻、文字と音の情報処理、「音楽情報処理」、岩波書店、pp. 163-236(1999)

katayori.jpg

4. fMRI計測のヒューマンインタフェースへの応用

高橋 信(東北大学)
三浦 直樹(高知工科大学)

脳機能計測を工学的に応用する場合、従来のニューロサイエンスのアプローチとの違いに注意する必要がある。本項目では、fMRIを使ったインタフェース評価研究の例を紹介し、その例を通じて工学的アプローチにおいて注意すべき点を明らかにする。本項目では、高橋が工学応用の基本的な考え方、研究倫理上注意すべき点を述べ、三浦が実際の研究内容、結果の解釈の方法に関して述べる。

高橋 信

専門分野:認知工学、原子力工学、HMI

略歴:
平成4年4月京都大学原子エネルギー研究所助手。平成8年4月京都大学大学院エネルギー科学研究科助手(改組)。平成8年10月東北大学工学部量子エネルギー工学科助手。平成12年4月東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻 助教授。平成13年4月東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻 助教授。

主要著書:
・ マルチメディア標準テキストブック -コミュニケーションデザイン編-、財団法人 画像情報教育振興協会 担当部分 6 マルチメディアにおける人間要素 6-4認知モデル,232-241
・ ヒューマンインタフェース、オーム社 担当部分 学会におけるネットワーク情報サービス 494-499
・ 次世代のプラント運転技術、(社)電気学会・次世代の原子力運転保守技術調査専門委員会編 担当部分:第6章 運転訓練シナリオの評価に関する研究

 

三浦 直樹

専門分野:脳機能計測

略歴:
2005年東北大学大学院工学研究科修了・博士(工学)、科学技術振興機構研究員、東北大学加齢医学研究所助手を経て2007年4月より高知工科大学知能機械システム工学科講師

takahashi.jpg

miura.jpg



コース4
「無線小型加速度センサを使った行動識別実践講座」

1. 無線小型加速度センサを使った行動識別実践講座

納谷 太(国際電気通信基礎技術研究所)
野間 春生(国際電気通信基礎技術研究所)

人間の活動を計測しこれを計算機によって推定する動作認識技術は、光学式、あるいは、機械式のモーションキャプチャシステムの実現を機に、大きく進歩してきました。一方で、これらの従来手法ではキャリブレーション、計測範囲などの環境の問題が避けては通れず、CGなどの応用に留まっていました。もう一つの方法として、近年実用化されてきた加速度センサをつかって動作を計測し、これを信号処理によって認識する技術が実用化されています。本講習会では、被験者の動作を特に制約することなく動作を計測できる加速度センサを使って、歩いたり走ったりといった複数の動作の記録のノウハウの修得、並びに識別プログラムを用いた動作の認識方法とその特長を修得することを目指しています。

納谷 太

専門分野:行動解析、パターン認識、ロボットインタラクション

著者略歴:
1994年慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻修了。同年日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学研究所入所。2005年株式会社国際電気通信基礎技術研究所 知識科学研究所 主任研究員。ロボットインタラクション、触覚情報処理、ユビキタスネットワーク、多種センサ情報を用いたコンテキスト理解技術等の研究開発に従事。

 

野間 春生

専門分野:バーチャルリアリティ、ヒューマンインタフェース、ウェアラブルコンピュータ

著者略歴:
1994年筑波大学博士課程工学研究科修了。同年株式会社国際電気通基礎技術研究所入所、2005年 同 知識科学研究所 室長。人工現実感、ハプティックインタフェース、センサーネットワーク等の研究に従事。


noya.jpg

noma.jpg


●参加費と参加申込



シンポジウムホームページへ

学会ホームページへ