特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

ホーム > イベント > HIS2005講習会

 

HIS2005のロゴです
講習会
2005年9月15日(木)

1.「出揃ったアクセシビリティ関連JISの解説と準拠のポイント」
オーガナイザ: 岡本 明(筑波技術短期大学)
講師:岡本 明(筑波技術短期大学)
中村 広幸(芝浦工業大学)
市川 熹(千葉大学)
梅垣 正宏(INSTACウェブアクセシビリティ国際標準化WG副査)
榊原 直樹(ユーディット)
門田 利彦(キヤノン)

 2.「人間中心設計の実践」
オーガナイザ: 黒須 正明(メディア教育開発センター)
講師:堀野 定雄(神奈川大学)
正木 伸夫(キヤノン)
平本 一雄(東京工科大学) 

3.「実験計画と統計の基礎:人を対象とする研究を始める前に」
オーガナイザ:原田 悦子(法政大学),竹内 勇剛(静岡大学)
講師:青山 征彦(駿河台大学) 


コース1「出揃ったアクセシビリティ関連JISの解説と準拠のポイント」

オーガナイザ: 岡本 明(筑波技術短期大学)

現在、高齢者・障害者等に配慮した情報バリアフリー社会の実現を目指し、日本工業規格(JIS)X8341「高齢者・障害者等配慮設計指針」が制定されつつあります。ヒューマンインタフェース学会誌Vol.6 No.4(2004年11月号)では、このような情勢を受けて「アクセシビリティ特集:情報アクセシビリティ関連の標準化動向」特集号を組み、今回、それをベースにした全日コース講習会を企画しました。
本講習会では、単なるJISの解説だけではなく、それを遵守する場合のポイントなどを交えてより実践的な内容に踏み込んでいく予定ですので、特に高齢者や障害者に配慮したヒューマンインタフェース開発の現場に携わる方々の参加をお待ちしています。

1. 情報アクセシビリティ関連JIS概要

岡本 明(筑波技術短期大学)

高齢者・障害者等に配慮した情 報バリアフリー社会の実現を目指し、日本工業規格(JIS)X8341「高齢者・障害者等配慮設計指針」が制定されつつある。X8341は一連のシリーズ 規格となっていて、既に第1部(共通指針)、第2部(情報処理装置)、第3部(ウェブコンテンツ)が発行され、さらに現在第4部(電気通信機器)と第5部 (事務機器)が制定間近となっている。講習コース1のスタートに当たり、まずアクセシビリティ関連JIS全体を概観して解説する。

専門分野:
ヒューマンインタフェース、福祉工学

主要著書:
『パソコンを隠せ! アナログ発想でいこう』 原著: D.A.Norman “The Invisible Computer” MIT Press 1998、新曜社、2000(共訳)、 『ユニバーサルデザイン』 日本工業出版、2001(共著)、 『エモーショナル・デザイン』 原著: D.A.Norman “motional Design” 2004、新曜社、2004(共訳)、 他

著者略歴:
慶応義塾大学工学部電気工学科卒業、(株)リコー入社。研究開発本部情報通信研究所副所長等を経て、2001年筑波技術短期大学教授。工博。ヒューマンイ ンタフェース学会副会長、電子情報通信学会福祉情報工学研究会委員長等を歴任。現在、総務省公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会副主 査、電子情報技術産業協会情報通信機器アクセシビリティ対応標準化専門委員会委員等。

岡本 明氏の写真です

2. JIS X8341-1:2004 高齢者・障害者配慮設計指針-情報通信機器における機器、ソフトウェア及びサービス 第1部:共通指針 

山田 肇(東洋大学経済学部)、中村 広幸(芝浦工業大学工学部)

2004年はわが国の「情報ア クセシビリティ」分野において大きな里程標が置かれた年になった。情報分野のアクセシビリティを確保するための国家規格としてJIS X8341シリーズが制定され、また、障害者基本法が改正され施行された。国際標準団体に対してもわが国が提案し、現在規格化に向けて議論が進められてい る。
本講では、JIS X 8341シリーズの共通指針となる8341-1(パート1)について、制定の基本的考え方ならびに準拠するにあたって留意すべき点を中心に解説する。加えて、国際標準化の動向について説明する。


専門分野:
山田 肇 : 情報メディア経済
中村 広幸 : 社会情報学、情報地理学

主要著書:
『情報アクセシビリティ』NTT出版、2005、山田編著・中村共著共著
『情報アクセシビリティとユニバーサルデザイン』アスキー、2004、山田・中村他共著
『技術経営』NTT出版、2005、山田編著

著者略歴:
山田 肇: 慶応義塾大学・工学博士、マサチューセッツ工科大学・技術経営修士。東洋大学経済学部教授。同大学院経済学研究科経済学専攻主任。科学技術政 策研究所客員研究員。日本工学アカデミー会員。情報アクセシビリティ、情報メディアの経済学、技術経営、標準化戦略などの分野で活動。
中村広幸: 東京大学理学部化学科・工学部都市工学科、同大学院人文社会系研究科博士課程満期退学・社会学修士。芝浦工業大学工学部教授。情報社会論の視 点で情報アクセシビリティやデジタルデバイドの問題に取り組む。情報化や情報技術の人間的・社会的側面の研究を専門とする。

alt=
中村 広幸氏の写真です

3. JIS X 8341-2:2004 高齢者・障害者配慮設計指針-情報通信機器における機器、ソフトウェア及びサービス 第2部:情報処理装置 

市川 熹(千葉大学、JEITA)

規格の作成に当たっての方針、規格構成の考え方、規格の概要などを解説する。

専門分野:
情報福祉、音声対話処理、ヒューマンインタフェースなど

主要著書:
「人と人をつなぐ声・手話・指点字」岩波書店 など。

著者略歴:
慶大工電気卒。日立製作所中央研究所を経て、現在千葉大学大学院自然科学研究科情報科学専攻教授。工博。電子情報通信会フェロー。同学会福祉情報工学研究 会を設立。同学会理事、人工知能学会理事、日本音響学会評議員などを歴任。現在総務省公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会主査、電子情 報技術産業協会情報通信機器アクセシビリティ対応標準化専門委員会委員長、日本手話学会監事、文科省特定領域研究「情報福祉の基礎」領域代表、など。

市川 熹氏の写真です

4. JIS X8341-3:2004 高齢者・障害者配慮設計指針-情報通信機器における機器、ソフトウェア及びサービス 第3部:ウェブコンテンツ 

梅垣 正宏(日本規格協会情報技術標準化研究センター、アクセシビリティ国際標準化に関する調査研究開発委員会WG2 副主査)

JIS X8341-3を用いてウェブを作成する際の具体的な手法やテクニックを紹介する。また、利用者環境を体験し評価を行うツールにも触れ、ガイドラインを使用するための具体的な情報提供をおこないたい。簡単に最新のウェブアクセシビリティの現状についても述べる。

専門分野:
認知工学、ヒューマンインタフェース、アクセシビリティ、障害者支援技術

主要著書:
パソコンボランティア 日本評論者(共著)
障害者と家族のためのインターネット入門 全国障害者問題研究会(共編著)
fmlメーリングリスト管理 オーム社(共著)

著者略歴:
東京都立大学工学部電気工学科卒。テクニカルライター、テクノツール株式会社等をへて、現在、電気通信大学電気通信学研究科システム工学専攻博士課程に在籍。福祉情報技術コーディネーター一級。國學院大學経済学部兼任講師。

梅垣 正宏の写真です

5. JIS X8341-4:2004 高齢者・障害者配慮設計指針-情報通信機器における機器、ソフトウェア及びサービス 第4部:電気通信機器 

榊原 直樹(株式会社ユーディット)

「JIS X8341-4 電気通信機器」の概要と、実際の利用に際しての注意点について解説を行う。

専門分野:
ユニバーサルデザイン、アクセシビリティ

主要著書:
『情報アクセシビリティとユニバーサルデザイン―誰もが情報にアクセスできる社会
をめざして アクセシビリティ研究会 (著), C&C振興財団 (編集)、アスキー、2003(共著)
『アクセシブルテクノロジ―ITと障害者が変えるビジネスシーン』(Gary Moulton(原著), Janice Hertz (原著), LaDeana Huyler (原著), Mark Levenson (原著)、日経BPソフトプレス、2003(翻訳、日本語版記事寄稿)
『ここから始めるWebアクセシビリティ―誰もが使いやすいホームページの作り方』 ぎょうせい、2004(共著)
『情報アクセシビリティ―やさしい情報社会へ向けて』 、NTT出版、2005(共著)

著者略歴:
東京電機大学卒。NTTアドバンステクノロジ株式会社を経て現職。IT分野におけるユニバーサルデザインとアクセシビリティに関する調査・コンサルティン グを行う。JEITA UD&AC委員会委員、電気通信アクセシビリティ標準化専門委員会委員。デジタルハリウッド大学客員教員。

榊原 直樹氏の写真です

6. JIS X8341-5:2004 高齢者・障害者配慮設計指針-情報通信機器における機器、ソフトウェア及びサービス 第5部:事務機器 

門田 利彦(キヤノン)

事務機器の情報アクセシビリティ規格JBMS-73とそのJISドラフト 版について準拠のポイントを解説する。さらにこの規格を有効利用していただけるように、PJでは各種支援TOOLを準備している。その中から評価基準 JBMS-XX(案)の取り組み等を紹介する。さらに標準化が進展する情報アクセシビリティ関連の国際的な動向にも触れる。

専門分野:
情報アクセシビリティ、UD

主要著書:
情報アクセシビリティの標準化(JBMIAジャーナル)

著者略歴:
JBMIA標準化センター アクセシビリティPJのリーダとして、業界の情報アクセシビリティの導入、推進とともに当分野の標準化を行う。また、X8341-1共通指針の策定、国際規格化等の標準化に関わっている。

門田 利彦氏の写真です


コース2「人間中心設計の実践」

オーガナイザ: 黒須 正明(メディア教育開発センター)

これまで20年近いユーザインタフェースデザイン活動や、人間中心設計のプロ セス規格であるISO13407 の制定、さらには昨今ではユニバーサルデザインやユビキタスコンピューティングなどの取組みが行われています。しかしその一方で、もっとも重要なユーザビ リティを核とした「人間中心設計」の理解、導入が開発現場に浸透していないのが実情です。

こうした状況の中で、本講習会ではヒューマンインタフェース研究者やエンジニア、デザイナーなど、企業や自治体において人間中心設計に取り組む方々に向 け、ISO13407 の考え方をベースとし、規格化・認証化や製品開発時でのガイドラインなどの実践状況を踏まえた有益なトピックを提示する予定です。

1. 人間中心設計の実践―「通常の使用」と「通常具備すべき安全性」―

堀野 定雄(神奈川大学)

ISO13407(インタラクティブシステムの人間中心設計過程)が製品やシステムの設計者に期待する真の意図と設計手順は何かを失敗・成功例を紹介しながら考える。カーブミラーの欠陥による出合い頭事故例や「事故情報収集制度報告書(経済産業省)」が紹介する具体的な家庭内災害事例を基に、PL法の根幹「通常の使用」「通常具備すべき安全性」の具体化はどの様に実現するかを考える。人間工学の中心的手法であるタスク分析の進め方を具体的に紹介し、設計者とユーザの間に存するギャップの実態を検証する。ギャップをなくす設計がいま、求められている事をアピールする。応用例であるユニバーサルデザイン実践例も紹介し進め方を考える。

専門分野:
人間工学、人類働態学、ヒューマンエラー分析、タスク分析、事故解析、予防安全、インタフェースデザイン、作業の人間工学チェックリスト、ユニバーサルデザイン(製品デザイン、街作り)

主要著書:
大島正光監修、大久保堯夫編、共著「人間工学の百科事典」(丸善、2005)
日本人間工学会編、共著「ユニバーサルデザイン実践ガイドライン」(共立出版、2003)
交通法科学研究会編、共著「科学的交通事故調査ー実況見分調書の虚と実―」(日本評論社、2002)
国土交通省海事局監修、共著「安全管理の指標」(船員災害防止協会、2002)
浅井喜代治編、共著「現代人間工学概論」(オーム社、2001)

著者略歴:
大阪府立大工学部卒(1964)、早稲田大大学院理工学研究科博士課程終了(1969)、神奈川大学工学部経営工学科(1971~)、お茶の水女子大生活 科学部講師(1984-1995)、千葉大学工学部講師(1984-1997)、東京大学医学部講師(1986-2005)・川崎市立看護短大講師 (1995-2005)。日本人間工学会理事、国際人間工学連合(IEA)理事、ISO/TC159/SC4/WG1コンビーナ、高等海難審判庁参審員、 国土交通省ヒューマンエラー事故対策検討委員会アドバイザリーグループ委員、同自動車交通局自動車運送事業に係わる交通事故要因分析検討会座長、同映像記 録型ドライブレコーダーの効果分析分科会座長。

堀野 定雄氏の写真

2. 企業における人間中心設計の実践状況

正木 伸夫(キヤノン)

人間中心設計が企業にて現在、「どのようにとらえられ、どのように展開されているのか」をキヤノン㈱の品質部門を事例に中心に紹介する。またJBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)のHCD小委員会の人間中心設計活動に触れ、多くの企業が共通にかかえている障害や問題、あるいは逆に工業会各社の優れた成功事例などを通して、今後、人間中心設計をどのように展開して行くべきかを述べてみたい。
著者略歴:
1975年武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業。同年、キヤノン㈱デザイン部に入社。主に事務機器(ファクシミリ、複写機など)のプロダクトデザ インを手がける。1992年、MMI推進室室長を歴任し、97年、全社的な立場にてユーザビリティテストを行う品質本部消費者サイド企画課に異動、 2002よりHC品質技術開発部部長を勤め、本年7月よりCS推進部の部長を務める。
正木 伸夫氏の写真です

3. 自治体における人間中心設計の実践状況―市民本位のポータルサイトの提供について―

平本 一雄(東京工科大学)

電子自治体のポータルサイトを対象にして、市民本位、人間中心のサイト構築の実態と課題について以下の3点について報告する。
①全国自治体サイトを対象にした行政アンケート調査、ユーザーWebチェックによる評価
②ベターなサイト構築のための自治体の体制と限界
③ベストのサイトを目指してのインターフェイス部分、内部構造部分の両面における課題

専門分野:
電子自治体、都市・地域づくり

主要著書:
『東京プロジェクト』(平本一雄編著、2005年、日経BP社)
『地域メディアを学ぶ人のために』(田村紀雄編、2003年、世界思想社)共著
『高度情報化と都市・地域づくり』(平本一雄編著、2000年、ぎょうせい)

著者略歴:
1970年 京都大学大学院工学研究科修士課程終了
1999年 ㈱三菱総合研究所取締役人間環境研究本部長
2003年 同上退任、東京工科大学メディア学部、大学院メディア研究科教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東京芸術大学大学院・早稲田大学大学院講師などを兼任、工学博士

平本 一雄氏の写真です


コース3「実験計画と統計の基礎:人を対象とする研究を始める前に」

オーガナイザ:原田 悦子(法政大学),竹内 勇剛(静岡大学)

ヒューマンインタフェース研究は、研究対象として人の存在が欠かせないため、頻繁に心理学的な実験や調査が行われることになります。ところが、それらの中には手続き上の重大な誤りがあったり、統計学的な信頼性を欠くものがあったりするなど、人を対象とする研究を始めるための基礎的なスキルが伴っていないケースが散見されるのも事実です。

本講習会では、心理学的な実験において、どのようにデータを取ったらよいかを決めるための実験計画法や統計処理上の要因の取り扱いかた、調査票や質問紙を作成する上での留意点などについて説明します。また、この講習会の参加者自身が演習を通して、教科書からは習得できない経験やノウハウを学ぶ機会となるようなプログラムを予定しています。ヒューマンインタフェース研究をこれからより深く学んでいこうとする学生の皆さんや、新たにヒューマンインタフェース関連の業務に携わることになった方々にとって有益な講習となるはずです。

1. 実験計画と統計の基礎:人を対象とする研究を始める前に

青山 征彦(駿河台大学)

ヒューマンインタフェース研究は、研究対象として人の存在が欠かせないため、頻繁に心理学的な実験や調査が行われることになります。ところが、それらの中には手続き上の重大な誤りがあったり、統計学的な信頼性を欠くものがあったりするなど、人を対象とする研究を始めるための基礎的なスキルが伴っていないケースが散見されるのも事実です。

本講習会では、心理学的な実験において、どのようにデータを取ったらよいかを決めるための実験計画法や統計処理上の要因の取り扱いかた、調査票や質問紙を作成する上での留意点などについて説明します。また、この講習会の参加者自身が演習を通して、教科書からは習得できない経験やノウハウを学ぶ機会となるようなプログラムを予定しています。ヒューマンインタフェース研究をこれからより深く学んでいこうとする学生の皆さんや、新たにヒューマンインタフェース関連の業務に携わることになった方々にとって有益な講習となるはずです。

専門分野:
認知心理学、認知工学

主要著書:
『メディア心理学入門』(学文社 2002年)(共著)

著者略歴:
1998年 筑波大学大学院博士課程心理学研究科 単位取得退学
1998年 筑波大学文部技官(準研究員)
2001年 駿河台大学現代文化学部 専任講師
2003年 同 助教授(現在に至る)
日本認知科学会で運営委員および編集委員、日本教育心理学会で常任編集委員を務める
日本心理学会、日本読書学会各会員

青山 征彦氏の写真です


参加費と参加申込

シンポジウムホームページへ

学会ホームページへ