特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

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ヒューマンインタフェース2010
講習会

2010年9月7日(火)

1.ユーザビリティ活動の過去・現在・未来
講師:黒須 正明(放送大学・総合研究大学院大学)

2.ユーザ評価のための定量的・定性的調査の基礎
講師:杉原 太郎(北陸先端科学技術大学院大学)

3.HIとプロダクトデザイン、より魅力的な商品の企画開発のために
講師:山内 勉(福井工業大学)
山崎 和彦(千葉工業大学)
塚原 肇(実践女子大学)

4.Androidで手軽にプロトタイピング
講師:渡辺 知男(頓智ドット・日本Androidの会運営委員)
石塚 宏紀(東京大学・日本アンドロイドの会運営委員)
福本 駿(東京電機大学・日本アンドロイドの会)

※コース4受講者の方はこちらもお読みください


コース1「ユーザビリティ活動の過去・現在・未来」

 

1.ユーザビリティ活動の過去・現在・未来)

黒須 正明(放送大学・総合研究大学院大学)

ユーザビリティ活動は、ISO13407の影響もあって、人間工学や認知工学を応用して評価活動を中心にしていた時代から、上流工程を含む設計プロセス全体におよぶ包括的な活動になってきた。ISO13407がISO9241-210と変わろうとしている現在、ユーザビリティ活動は既にその規格の範囲を超えてライフサイクル全般に及ぶものとなり、さらに品質特性としての利用品質と利用者が受容する経験の総体(UX)との因果関係を明確にし、満足感の位置づけや関連諸概念を整備すべき段階に到達している。この講演では、こうした現状を俯瞰し、さらに今後への展望について述べる。

専門分野:
ユーザ工学、人工物発達学

略歴:
1978年早稲田大学文学研究科(博士課程心理学専修)単位取得満期退学。日立製作所に入社し、中央研究所で日本語入力方式やLISPプログラミング支援環境などのソフトウェアシステムの研究開発に従事。1988年同社デザイン研究所に移り、インタラクションデザイン、ユーザビリティ評価の研究に従事する。1996年に静岡大学情報学部情報科学科教授として赴任し、ユーザ工学の体系化を行う。2001年文部科学省メディア教育開発センター(2005年4月より独立行政法人になり、2009年4月に放送大学に併合)教授として赴任。現在は、学校法人放送大学教授、および国立大学法人総合研究大学院大学教授(併任)、学長特別補佐。またNPO法人、人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事長をつとめる。

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コース2「ユーザ評価のための定量的・定性的調査の基礎」

1.ユーザ評価のための定量的・定性的調査の基礎

杉原 太郎(北陸先端科学技術大学院大学
HI分野において中心的な研究者群は工学系であるが、その専門家として涵養される過程において、ユーザ評価法について体系的に学ぶ機会はそう多くない。本講習では、初学者のための導入と位置づけ、前半で工学系研究と社会科学系研究の考え方の違いに触れ、後半では定量調査と定性的調査の各々の特徴について概説する。講師は、工学系出身でありながら、社会科学の研究に関わることになった経験を有する。その経験を生かし、特に工学系研究者が陥りやすい落とし穴について概説することに重点を置く。

専門分野:
ユーザ行動分析,インタラクション分析,感性情報処理

略歴:
2002年京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士前期課程修了、2005年同博士後期課程修了、博士(工学)。
2005年4月から北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助手を経て、
2008年より同助教、現在に至る。
2007-2008年金沢工業高等専門学校電気電子工学科非常勤講師。

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コース3「HIとプロダクトデザイン、より魅力的な商品の企画開発のために」

1. プロダクトデザインの基本と住宅設備機器の事例

山内 勉(福井工業大学)

プロダクトデザインは、人間生活環境を形成する上で欠くことのできない分野であり、時代と社会における生活文化と産業にかかわる創造活動である。公共空間から私的空間に至る私たちの日常生活をとりまく様々なものの多くは、企業活動によって商品として産み出されている。それらの企業における商品開発では、様々な専門分野の知識と経験を持ったプロフェッショナルが協力して一連のプロセスを実践し、プロダクトデザインもそのひとつとしての役割を担っている。ここでは、プロダクトデザインの基本を概説し、具体的なプロダクトデザイン事例として住宅設備機器を取り上げる。

1.プロダクトデザインの背景
2.社会とプロダクトデザイン、企業とプロダクトデザイン
3.住宅設備機器のプロダクトデザイン事例

専門分野:
プロダクトデザインに関連するデザインマネジメント、ユニバーサルデザイン、デザイナーの能力開発、デザインミュージアム等の実践および研究

主要著書:
「プロダクトデザイン~商品開発に関わるすべての人へ」(共著)

略歴:
1970年千葉大学工学部工業意匠学科卒業後、松下電工(現パナソニック電工)株式会社入社。住宅設備、電気設備機器の商品デザイン開発、全社デザイン戦略企画を経て、全社デザイン部門マネジメントを担当。社外活動は、1983年より社団法人日本インダストリアルデザイナー(JIDA)協会正会員、前理事長、現在は職能委員会CPD部会長および特命担当として日本デザイン団体協議会(D-8)ジャパンデザインミュージアム設立準備委員会委員長。日本デザイン学会評議員。2009年より福井工業大学デザイン学科でデザイン教育に従事。デザイン関係の受賞は、毎日工業デザイン賞、グッドデザイン賞(Gマーク)部門大賞、BL国際デザインコンペ奨励賞など。国内外での講演多数。

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2.プロダクトデザインのアプローチ、プロダクトデザインのプロセス、手法と情報機器の事例

山崎 和彦(千葉工業大学)

プロダクトデザインのアプ ローチや手法は、商品開発以外にも、HI研究、HIのためのデザイン、これからの仕事や社会づくり、新規企画や新提案などにも活 用することができる。ここではプロダクトデザインを実践するためのアプローチ、HCD、デザイン思考のアプローチ、アドバンスデザイン、問題解決のアプ ローチなどのデザインアプローチとデザインプロセスについて学ぶ。そしてアプローチを実践するための手法として、ユーザ調査のための手法、デザインコンセ プトのための手法、デザイン評価のための手法を学ぶ。また、具体例として情報機器のプロダクトデザイン事例について解説する。

1.プロダクトデザインのアプローチ(HCD、アドバンスドデザイン、デザイン思考、問題解決)
2.プロダクトデザインのデザインプロセス(戦略、企画、開発、デザイン)
3.ユーザ調査のための手法、デザインコンセプトのための手法、デザイン評価のための手法
4.情報機器のプロダクトデザイン事例

専門分野:
製品やシステムに関する工業デザイン,ヒューマンインタフェース・デザイン,ユニバーサルデザイン,ユーザーセンタード・デザイン,情報デザイン,デザインマネージメント等に関連する実践および研究

主要著書:
「プロダクトデザイン -商品開発に関わるすべての人へ」(共著)、Works
「使いやすさのためのデザイン -ユーザーセンタードデザイン」(共著)、丸善
「ユニバーサルデザイン実践ガイドライン」(共著)、共立出版
「デザインセクションに見る創造的マネージメントの要諦」(共著)、海文堂

略歴:
京都工芸繊維大学工芸学部卒業後,クリナップにて住宅設備機器のデザインを担当,日本IBMにてデザインを担当,ThinkPadブランドの育成に貢献,日本IBMユーザーエクスペリエンスデザインセンター長(技術理事)を経て現職。神戸芸術工科大学にて博士(芸術工学)を授与,東京大学大学院博士課程満期退学。現在は、千葉工業大学工学部デジアン科学科にて大学教育とデザインコンサルティングに従事。日本デザイン学会理事、人間中心設計機構副理事長、グッドデザイン賞審査委員。作品はiF賞(ドイツ),IDEA賞(米国)など国際的なデザイン賞を多数受賞。国際会議等での講演多数。ニューヨーク近代美術館WorkSphere展に作品選定。

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3.プロダクトデザインにおける視覚化と医療機器の事例

塚原 肇(実践女子大学)
プロダクトデザインにおいて「視覚化」というのは、もっとも重要な活動の一つです。ここでは、プロダクトデザインの視覚化の概要やどのような視覚化の手法があるのかなど解説する。また、具体的なプロダクトデザイン事例として医療機器を取り上げる。
1.プロダクトデザインの視覚化
2.医療機器のプロダクトデザイン事例
医療機器の事例では、「GE」社の事例を紹介する。「GE」は1995年に「シックスシグマ」を製造部門に採用した。「シックスシグマ」の本来の目的は 「欠陥率100万分の3.2」を達成することです。日本には古くから「TQC/TQM」という改善ツールがあるが、「シックスシグマ」はモトローラ社がこ れらを徹底的に研究して開発した品質改善手法である。GEはこの「シックスシグマ」を1997年に「問題解決型経営革新手法」として、製造だけではなく営 業、ファイナンス、サービス、開発部門と全ての部門に採用を決めた。デザイン部門も然りである。そこで我々が注目したのはMeasure- Analyze-Improve-Controlのプロセスと各フェーズにおける「視覚化」です。コンセプトスケッチを描く、モックアップを作ると言う従 来のIフェーズにおける「視覚化」に加え、「Voice Of Customer」、「Critical To Quality」などの視覚化を行なった。本事例では、「シックスシグマ・デザインプロセス」についても紹介する。

専門分野:
プロダクトデザイン、ユニバーサルデザイン、デザインプロセスに関する研究および開発

主要著書:
「プロダクトデザイン -商品開発に関わるすべての人へ」(共著)、Works

略歴:
東京教育大学大学院 工業デザイン専修(修士)、GKインダストリアルデザイン研究所 第一プロダクトデザイン研究室を経て、GEヘルスケア・ジャパン勤務、2006年より実践女子大学 生活科学部 生活環境学科 プロダクトデザイン研究室勤務 教授。

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コース4「Androidで手軽にプロトタイピング」

※コース4受講者の方はこちらもお読みください

1.Androidで手軽にプロトタイピング

渡辺 知男(頓智ドット・日本Androidの会運営委員)

概要:モバイルだけでなく組込み用途としても注目されているAndroidを用いて、HI研究への活用を考えておられる方々への第一歩となる内容を企画いたしました。Android端末単独で何かを行うだけではなく、Androidの拡張性を活かして、何かと組み合わせて研究に活用できないかなということを考えています。講習会前半はAndroidに触れてみるとして、簡単な開発を行うチュートリアルをします。講習会後半はフィジカルコンピューティングI/OモジュールのGainerを利用した応用例として、実機でのデモと開発の流れを説明します。時間があれば、グループで応用をブレストして発表してもらうことを考えています。

専門分野:
組込みシステムアーキテクチャ,プロダクトライン

略歴:
武蔵工業大学大学院 修士課程卒業後、パイオニアへ入社、研究開発部門においてDVDのオーサリングツール、カーナビゲーションの研究開発に携わる。2007年の Android発表からAndroidへの取り組みを開始。2010年より頓智ドットにて「セカイカメラ」のAndroid版の開発を行っている。

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石塚 宏紀(東京大学・日本アンドロイドの会運営委員)

略歴:
2008年東京電機大学大学院・工学研究科・修士課程了。同年同大学院・先端科学技術研究科・博士課程。2009年東京大学大学院情報理工学系研究科・博士課程。現在に至る。モバイルアドホックネットワーク、カメラセンサネットワーク、ヒューマンプローブの研究に従事。

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福本 駿(東京電機大学・日本アンドロイドの会)

略歴:
東京電機大学未来科学部情報メディア学科にて、ユビキタスコンピューティング、アンドロイド端末を用いた研究に従事。2009年日本アンドロイドの会学生部所属。

福本 駿氏の写真です
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