特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

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講習会

2007年9月3日(月)

1. 教育用レゴ マインドストームNXT で学ぶものづくり
オーガナイザ:福本 雅朗(NTTドコモ 総合研究所)
講師:株式会社アフレル

2. 体験してみよう! 近赤外光トポグラフィによる脳機能計測の実際と応用
オーガナイザ: 井野 秀一(東京大学) 岩田 洋夫(筑波大学)
講師:牧 敦(日立製作所) 戸田 明彦・藤原 倫行(日立メディコ) 片寄 晴弘(関西学院大学)

3. 心理学実験と分散分析:はじめの一歩
オーガナイザ:竹内 勇剛(静岡大学)
講師:青山 征彦(駿河台大学)

4.多様な人々が利用できるWebサイトとは~Webアクセシビリティの現状と実践方法~
オーガナイザ:今井 朝子(ユーディット) 竹内 勇剛(静岡大学)
講師:濱田 英雄(ユーディット)

5.成熟度の水準に対応した人間中心設計の進め方
オーガナイザ:黒須 正明(メディア教育開発センター)
講師:黒須 正明 (メディア教育開発センター) 堀部 保弘(三菱総合研究所) 鱗原 晴彦(U'eyesDesign) 小川 俊二(カイデザイン)

 


コース1
「教育用レゴ マインドストームNXTで学ぶものづくり」

オーガナイザ: 福本 雅朗(NTTドコモ 総合研究所)

1. 教育用レゴ マインドストームNXTで学ぶものづくり

株式会社アフレル

※教育用レゴ マインドストームNXTを用いたエンジニア向け研修を行なっている会社です。今回、HIシンポジウム向けに特別カリキュラムを設定しました。

 

日常的にコンピュータを扱い、プログラミングを行なっている工学系研究者であっても、「自分の手でモノを造る」機会は稀である。ブロックやセンサを組み立ててロボットを動かしながら課題解決を行なうことで、アルゴリズムの世界だけで無い「現実世界でのモノ造り」の理解を深める。また、レゴを用いた技術者や学生向けの教育事例紹介も行なう。

 

予定内容:
・10:00-12:00 午前の部
マインドストームの説明。 ロボット製作、ROBOLAB2.9プログラム製作、ダウンロード、走行(車輪2個、光学センサ1個でのライントレースタスクを想定)
・12:00-13:00 昼休み
・13:00-15:30 午後の部1
課題演習(タッチセンサを組み付け、センサ位置やプログラムを工夫しながらコース上に置いた障害物回避を目指します)。
・15:40-16:30 午後の部2
結果発表(優秀アイディアの披露)
レゴを使った教育例紹介(大学や社会人向けの教育に使っているケーススタディや効果)

「教材付き特別パック」について:
教材として使用する「教育用レゴ マインドストームNXT」をセットにした特別パックを用意しました。講習会で自分が造ったロボットを「お持ち帰り」頂けます。 また、通常価格に比べてかなり「おトク」になっておりますので、併せて御検討ください。

・教材A:教育用レゴ マインドストームNXT基本セット +ACアダプタ+ROBOLAB2.9
※大学生協等での通常価格(49,980円)に2,000円程度追加するだけで講習会がついてきます。
・教材B:教材A+教育用レゴ マインドストームNXT拡張セット
※大学生協等での通常価格(58,590円)とほぼ同じ価格で講習会がついてきます。

御注意:
・教材に含まれている ROBOLAB2.9 は Windows XP「のみ」の対応です(Windows2000, Vista では「動きません」。また、Vistaへの対応は未定です)。あらかじめ御了承ください。

・教材のサイズは、A:32x43x19.5cm(1.5kg), B:32x43x36cm(2.3kg)です。講習会終了後に宅配便での発送も可能です。当日受付でお知らせください。※発送料金は御負担ください。

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コース2
「体験してみよう! 近赤外光トポグラフィによる脳機能計測の実際と応用」

オーガナイザ: 井野 秀一(東京大学) 岩田 洋夫(筑波大学)

1. トポグラフィの開発とその応用

牧 敦(日立製作所)

光トポグラフィという、光を用いた新しいニューロイメージング法が世の中に提案されてから約十数年が経過した。しかし、この新しいニューロイメージング法の創生は、実際には約150年の歳月をかけた基礎研究の上に立脚している。本講演では、光トポグラフィの歴史的経緯を端緒に、その原理そして応用について紹介したい。また、応用研究から得られた知見から、脳科学の社会応用が切り拓かれようとしており、その可能性に関しても言及したい。

専門分野:
生体光計測、脳科学

主要著書:
A. Maki, Y. Yamashita, Y. Ito, E. Watanabe, Y. Mayanagi, and H. Koizumi, Spatial and Temporal Analysis of Human Motor Activity Using Noninvasive NIR Topography, Med.Phys.,22, 1997-2005 (1995)
牧敦, 「光で見たこどもの脳」, 科学(岩波書店), Vol.71, pp.733-738 (2001)

著者略歴:
1990年慶應義塾大学理工学研究科機械工学専攻修了、同年(株)日立製作所中央研究所入所、近赤外光による生体内3次元画像化に関する研究、近赤外光による脳機能の画像化装置に関する研究、光トポグラフィによる新生児言語機能に関する研究に従事、University College London客員研究員を経て、現・日立製作所主管研究員、東京大学先端技術研究所客員研究員、博士(工学)

 

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2. 光トポグラフィ装置の計測実演

戸田 明彦(日立メディコ)
藤原 倫行(日立メディコ)

光トポグラフィ装置ETG-4000(52ch計測)を用いて実際に何例かの計測をします。光トポグラフィ装置は脳機能を被験者 の拘束が低く場所を選ばないで簡便に計測できることが特長ですが、例えば首の動きや口の動きなどデータのアーチファクト信号が混入することや特に前頭葉の 計測においては環境設定を考慮することが重要になります。このようにより良いデータを得るための計測における注意点などご理解いただくように説明を交え実 演していきます。

専門分野:
戸田明彦:光トポグラフィ装置のマーケティング
藤原倫行:光トポグラフィ装置の開発

主要著書:
『人間生活工学 第一巻 人にやさしいものづくりのための方法論』丸善、共著

著者略歴:
戸田 明彦:1982年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業,同年日立製作所入社 営業本部重工部に所属,国内外の鉄鋼関係顧客への営業を担当, 1998年日 立メディコ入社国内営業本部にて営業・企画・教育などの業務を担当,2002年より光トポグラフィ装置の拡販支援にも関わり, 2006年10月よりマー ケティング統括本部応用機器戦略部長として同装置の事業全般の統括を専任

藤原 倫行:1988年国立木更津工業高等専門学校機械工学科卒業(株)日立メディコ入社 超音波設計部配属超音波装置の設計業務を行い、1997年より光トポグラフィ装置の開発を初期メンバーとして携わる。現在主任技師として開発全般を担当。

 

 

3. HCI 評価研究におけるfNIRS活用事例

片寄 晴弘(関西学院大学)

エンタテイメント・アミューズメント系のHCIシステムには愉しさや没入感を基軸とした認知評価が求められる.しかし,これらの評価基軸は個々人の嗜好とも大きな相関があり,心理学領域で一般的に用いられてきた質問紙法と統計的解析のみで,知見を示したり,解釈を行ったりすることは困難であった.この問題に対処する一つのアプローチとして,fNIRSを代表とする能機能計測技術の活用が期待されている.ここでは,質問紙法と能機能計測を併用した音楽および音楽系HCIシステムの認知評価研究事例と,虚偽検出におけるfNIRS応用の初期的な取り組みについて紹介する.

専門分野:
音楽情報処理,コンテンツ Design & Creation,心理計測

主要著書:
片寄晴弘:マルチメディア情報学10巻,自己の表現,「パフォーマンスのためのマルチメディア情報利用」,pp.67-113, 岩波書店(2000)
片寄晴弘:デザイン情報学入門,「デザインと情報処理」,pp.161-183, (財)日本規格協会(2000)
井口征士,片寄晴弘:マルチメディア情報学4巻,文字と音の情報処理,「音楽情報処理」,岩波書店,pp. 163-236(1999)

著者略歴:
大阪大学基礎工学部制御工学科卒.大阪大学基礎工学研究科博士後期課程修了.工学博士.オージス総研,イメージ情報科学研究所,和歌山大学を経て,現在,関西学院大学理工学部教授.ヒューマンメディア研究センターセンター長.音楽情報処理,コンテンツ Design & Creation,心理計測の研究に従事.CREST「時系列メディアのデザイン転写技術の開発(CrestMuse Project)」研究代表者.




コース3
「心理学実験と分散分析:はじめの一歩」

オーガナイザ:竹内 勇剛(静岡大学)

1.

青山 征彦(駿河台大学)

ヒューマンインタフェース研究では、心理学的な実験がよく行われますが、見よう見まねで実験を行っているケースも多いようです。本講習会では、心理学実験をどのように実施したらよいかという基本的な考え方と、分散分析(下位検定を含む)の具体的な手順、留意点について学びます。特に、分散分析の考え方や計算の手順については、ワークシートを用いた演習によって、具体的に理解できるようにしたいと思います。教科書からはなかなか理解しづらい実験のノウハウについて、理解を深めていただくためのプログラムです。ヒューマンインタフェース研究をこれからより深く学んでいこうとする学生の皆さんや、新たにヒューマンインタフェース関連の業務に携わることになった方々にとって有益な講習となるはずです。

専門分野:
認知心理学、認知工学

主要著書:
『メディア心理学入門』(学文社 2002年)(共著)

著者略歴:
1998年 筑波大学大学院博士課程心理学研究科 単位取得退学
1998年 筑波大学文部技官(準研究員)
2001年 駿河台大学現代文化学部 専任講師
2003年 同 助教授(現在に至る)
日本認知科学会で運営委員および編集委員、日本教育心理学会で常任編集委員、日本質的心理学会で研究交流委員を務める。日本心理学会、日本読書学会、日本認知心理学会各会員

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注)コース3の講習会当日には、平方根を求められる電卓をご持参ください。



コース4
「多様な人々が利用できるWebサイトとは~Webアクセシビリティの現状と実践方法~」

オーガナイザ:今井 朝子(ユーディット) 竹内 勇剛(静岡大学)

1.

濱田 英雄(ユーディット)

情報を手軽に入手することができるホームページは、生活の幅や可能性を広げる手段の一つとして利用が広がっており、特に障害者や高齢者などアクティブに行動する事の難しい人にとって重要な情報源になっています。しかし、JIS規格を始め様々なガイドラインが提示されていますが、実現化については制作者の意思に任されているのが現状です。本講習会では、Webアクセシビリティに必要な基礎知識とJISX8341-3「ウェブコンテンツ」を参考に実際の作成方法を学びます。

専門分野:
Webアクセシビリティ

主要著書:
経済産業省委託「電子機器に関する支援技術利用促進研修プログラムテキスト」
「ここから始めるWebアクセシビリティ」(株)ぎょうせい

著者略歴:
1998年からアクセシブルなWebの制作を始める。1999年(株)ユーディットに主任研究員として入社、アクセシブルなWebの制作、既存サイトの調査及び評価、ガイドライン作成、講演などを主としてSOHOで仕事をしている。経済産業省情報バリアフリー標準化委員会のウェブ・アクセシビリティ作業部会の主査として、JIS X8341-3「ウェブコンテンツ」作成に携わる。神奈川県社会福祉協議会「障害者・高齢者等IT普及推進協議会」委員。美作大学非常勤講師。

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コース5
「成熟度の水準に対応した人間中心設計の進め方」

オーガナイザ: 黒須 正明(独立行政法人メディア教育開発センター)

 

人間中心設計は徐々に製造業やサービス業の現場に浸透しつつある が、企業間、また企業のセクション間での温度差が大きいのが現状である。成熟度が異 なる場合、それに適合したやり方でアプローチをしていかなければ、人間中心設計を 適切に根付かせることはできない。そこで、成熟度の段階を導入段階、初期段階、中 期段階にわけ、それぞれの段階で発生する問題はどのようなものか、またそれらの問 題を解決するためにどのような取り組みを行うべきかなどを説明する。

 

 

1.人間中心設計の水準とドメイン特有、および業界構造に適合したアプローチのあり方

黒須 正明(独立行政法人メディア教育開発センター)

人間中心設計への取り組みには、関係者の意識の水準や現実の活動内容の水準に違い がある。また、ソフトウェア(組み込み系ソフトウェアと業務ソフトウェアと一般ア プリでの違い)とハードウェア(個人・家庭用機器、公共機器、専門機器)での違いも ある。こうした違いを意識した取り組みをする必要があり、ISO13407の抽象的で理想 論的で概念的な枠組みだけでは不十分であるといえる。その点に留意して、今後の第 二世代の人間中心設計の取り組み方について、まずはその概念枠を論じる。またISOで規定されている成熟度の考え方への批判も含める。

専門分野:
ユーザ工学

主要著書:
「ユーザビリティテスティング」(監訳) 2007 翔永社
「エマージェンス人間科学」(分担執筆) 2007 北大路書房
「ワークショップ人間生活工学、1&3」(分担執筆) 2005 丸善
「ペーパープロトタイピング」(監訳) 2004 オーム社
「ユーザビリティテスティング」 2003 共立出版

著者略歴:
1978 早稲田大学文学研究科博士課程満期退学、日立製作所中央研究所入社
1988 日立製作所デザイン研究所に異動
1996 静岡大学情報学部に転属
2001 メディア教育開発センターに転属
現在、メディア教育開発センター教授、理事長補佐、総合研究大学院大学文化科学研究科研究科長、教授 NPO 法人人間中心設計推進機構機構長

 

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2. 成熟度に関する考え方

堀部 保弘(三菱総合研究所)

「成熟度」という考え方は古く品質管理の手法に由来するが、近年のプロセス管理の隆盛の中で様々なドメインにその考え方が利用され始めた。ここでは、「成熟度」の考え方を、その由来に遡って検討することにより、「成熟度」の捉え方を確認するとともに人間中心設計における「成熟度」について検討する。

主要著書:
「認知的道具のデザイン」(共著)2001年
金子書房、「ソフトウェア品質 管理のためのプロジェクトマネジメント」(共著)
2002年 オーム社、「ISO-13407 の分かる本」(共著)

著者略歴:1986年筑波大学環境科学研究科修了。ISO/TC159/SC4/WG6メンバー

 

3. 水準に対応した取り組み方について

鱗原 晴彦(U'eyes Design)

現在のユーザビリティへの取り組み水準を三種類に分け、それぞれの場合における取り組みの仕方を、実践経験にもとづいて論じる。また、内部における人間関係、ユーザビリティを意識している人の職位など、人間中心設計推進に関連する他の要因についても触れる。

専門分野:
ユーザセンタードデザイン

主要著書:
ユーザビリティテスティング(共立出版、共著)
GUIデザインガイドブッ ク(海文堂、共著)

著者略歴:
1982年金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業.
2001年U'eyesDesignInc.代表取締役、2002年株式会社ノーバス代表取締役社長に 就任.
特定非営利活動法人人間中心設計推進機構 理事長・事務局長.筑波大学大学院、東北工業大学非常勤講師、 目に見えない操作性をビジュアル化し、商品のユーザビリティ向上に16年間従事し、 カーナビ、携帯電話、デジタルカメラなどの使いやすさ構築に取り組む.

 

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3. ドメインに対応した取り組み方について

小川 俊二(カイデザイン)

ソフトウェア・ハードウェアのそれぞれの業界構造やドメイン特有の課題を整理し、ソフトウェア(組み込み系ソフトウェアと業務ソフトウェアと一般アプリでの違い)やハードウェア(個人・家庭用機器、公共機器、専門機器)の個別領域ごとの取り組み方を実験経験にもとづいて論じる。

専門分野:
インターラクションデザイン、インターフェースデザイン

主要著書:
「見せるユーザー・インタフェース・デザイン」(訳書)1993年 日経BP社 

著者略歴:
千葉大学工学部工業意匠学科卒、有限会社カイデザイン取締役、公立はこだて未来大学客員教授、多摩美術大学上野毛校講師、日本デザイン学会員、NPO 法人人間中心設計推進機構理事

 

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参加費と参加申込
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