特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

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講習会

2003年9月30日(火)10:00-17:00
受付開始時刻 9:30~

1.「論理的に製品開発(要求事項の抽出、UI設計、V&V評価他)を行う」
(10:00-17:00) 会場:センター棟 404

講師: 山岡俊樹(和歌山大学)

2.「ユーザビリティテスティング」
(10:00-17:00)会場:センター棟 501(会場が変更になりました。)

講師: 小畑 貢((株)ヒューマンインタフェース)、伊藤 潤(ソニー(株))
鹿子嶋 功・田中 健史(マイクロソフト PD リミテッド)
鱗原 晴彦((株)ユー・アイズ・ノーバス)、黒須正明(メディア教育開発センター)

3.「新技術・産業創出への挑戦」
(10:00-17:00)会場:センター棟415

講師: 中川正樹(東京農工大学)、白井 達郎(産学共同システム研究所)
紀 信邦(日本エンジェルズ・インベストメント(株))、渡辺富夫(岡山県立大学)

4.「協調学習支援システムのデザイン:創発的分業の支援」
(10:00-13:00) 会場:センター棟 414(会場が変更になりました。)

講師: 加藤浩(メディア教育開発センター)、鈴木 栄幸(茨城大学)
舟生 日出男(茨城大学)、楠 房子(多摩美術大学)

 


コース1 「論理的に製品開発(要求事項の抽出、UI設計、V&V評価他)を行う」

(10:00-17:00)
司会:鬼沢 武久(筑波大学)

要求事項の抽出、ユーザインタフェース設計やユーザビリティ評価を行う場合、それぞれ個別に実施するのでなく、システム開発の観点から一貫して考えてゆく必要がある。ヒューマンデザインテクノロジー(HDT)はこの観点から開発されたシステム、製品開発方法である。この方法では、要求事項から構造化コンセプトを構築し、製品やインタフェースを可視化する。次に、構造化コンセプトに基づきそれらのV & V評価を行なう。講習会では、このHDTに基づき①ユーザリクアイアメント抽出、②構造化コンセプト、③ユーザインタフェース設計,製品の可視化  ④V & V評価 について概説する。また、質的データのまとめ方として、ブール代数アプローチを紹介する。
下記の6ステップについて説明する。

使用テキスト:「ヒューマンデザインテクノロジー入門」森北出版株式会社
(参加費に含まれています)

1. 論理的に製品開発(要求事項の抽出、UI設計、V & V評価他)を行う

山岡 俊樹(和歌山大学)

(1)ユーザニーズ収集ステップ
(2)状況把握ステップ
(3)製品コンセプト構築ステップ
(4)デザイン(総合化)ステップ
(5)デザイン評価ステップ
(6)ユーザ使用実態調査

専門分野:ユーザインタフェース設計、人間工学、工業デザイン、製品開発

主要著書:共著:ユーザインタフェースデザインの実践、海文堂出版、1999
共著:デザイン情報学入門、日本規格協会、2000
山岡俊樹編著:ユーザー優先のデザイン・設計、共立出版、2000年
山岡他編著:構造化ユーザインタフェースの設計と評価、共立出版、2000年
山岡俊樹編著:ハード・ソフトデザインの人間工学講義、武蔵野美術大学出版局、2002年
共著:ユニバーサルデザイン実践ガイドライン、共立出版、2003年
山岡俊樹著:ヒューマンデザインテクノロジー入門、森北出版、2003年

講演者略歴

 

 


コース2「ユーザビリティテスティング」

(10:00-17:00)
司会:黒須 正明(メディア教育開発センター)

ユーザビリティテストは、ユーザビリティの評価の手法として現在最も一般的に用いられているものである。対象となる機器やシステムは、家電製品や情報通信機器、ソフトウェア、公共システム、大規模システム、WEBなど多岐にわたっており、テストのためのラボを保有する組織も多くなってきた。実験的観察法として、そこから得られるデータは説得力と妥当性があり、組織内での意志決定にも重要な役割を果たしている。
そこで、本コースでは、このたび日本で初の解説書が刊行されたことを契機に、この手法に関する最新の情報をまとめ、ユーザビリティに関心を持っている方々にその概要を知って頂くことを目標として設定した。その意味で、主対象としては、これからユーザビリティテストをやってみようと考えておられる方、多少の経験はあるがもう少しそのやり方について整理・確認したい方を想定している。ただし、ユーザビリティテストを日常的にやっておられる方々にとっても、ご自分のやり方と他の方々のやり方を比較する場となることを期待している。
こうした目的のため、最後に質疑の時間を多めにとっていることも本コースの特徴である。

使用テキスト:「ユーザビリティテスティング」共立出版刊(参加費に含まれています)

1.ユーザビリティテストの概要

小畑 貢((株)ヒューマンインタフェース)

  • ユーザビリティテストの適応分野
  • ユーザビリティテストの評価対象物
  • ユーザビリティテストの目的
  • ユーザビリティテストの手法
  • ユーザビリティテストの歴史
  • 要求の発生
  • テスト企画
  • テスト方法の検討
  • テストの被験者
  • ユーザビリティテスト実施におけるポイント

講師略歴

1971年 千葉大学工学部工業意匠学科卒業
同年

(株)リコー入社

製品デザイン、新技術の用途開発、提案型セールス育成、ユーザビリティ評価などに従事

1991年

(株)ヒューマンインタフェース設立

ユーザビリティ評価および付帯サービスを行なう。業務用機器から個人用情報機器、ソフトウェア、取説、高齢者から幼児まで幅広いユーザテストを数多く実施

 

2.テストの準備と実施

伊藤 潤(ソニー(株))

なぜユーザビリティテストを行なう必要があるのか、改めて問い直す。テスト企画のプロセスはついつい、いいかげんに済ましがちであるが、効率よいテストの実施や、高い成果を得るためには必須である。
     本講演ではテスト企画のポイント、モニターの選び方、タスクシナリオ作成のポイントなどのテスト準備から実際にテストを実施するにあたってのポイントを説明していく。

講師略歴

1982年
東京工業大学制御工学科卒業
1984年
同大学大学院修士課程修了
同年
ソニー(株)入社
1990年 同社ヒューマンインターフェースラボに異動
1998年

主査。 2003年シニアユーザビリティエンジニア

同社商品やサービスのコンセプト検討・ユーザインタフェース設計・ユーザビリティ評価に従事。

ヒューマンインタフェース学会、Usability Professionals Association各会員。

 

3.結果のまとめ方

鹿子嶋 功・田中 健史(マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド)

  • ユーザビリティテストで得られたデータの種類
  • 定性データの処理方法と注意点
  • 定量データの処理方法と注意点
  • テスト結果のレポートのまとめ方
  • レポート以外の各種フィードバックの方法

講師略歴
(鹿子嶋 功)

1997年
千葉大学大学院自然科学研究科(修士課程工業意匠学専攻)修了
同年
株式会社ヒューマンインタフェース入社
1998年
マイクロソフト株式会社入社
1999年

マイクロソフト プロダクトディベロップメント リミテッドに所属変更

ユーザビリティ エンジニアとしてMicrosoft Office及び関連製品のユーザ リサーチを担当。

人間工学会会員。生理人類学会会員。

(田中健史)

1999年
University of Idaho心理学部人間工学科(Human Factors)修士課程修了
同年

マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド入社

ユーザビリティ エンジニアとしてMicrosoft Office製品を中心に関連製品、サービスのユーザビリティテストならびにユーザ リサーチを担当。

 

4.問題点抽出手法としてのNEM

鱗原 晴彦((株)ユー・アイズ・ノーバス)

ユーザビリティの概念がある程度普及した現在、次に望まれるのは「ユーザビリティの専門家でなくても理解できる判りやすい評価結果」である。
ユニバーサルデザインという言葉の拡がりとともに多くの一般企業において「使い勝手の向上」に関心が高まっている。経営者や営業の人たちにも伝えやすく、操作性の問題点を抽出するにはたいへん有効な客観的評価指標を紹介する。

講師略歴

1982年
金沢美術工芸大学工業デザイン科卒、平野デザイン設計、DEノーバスを経て
1990年
株式会社ノーバス設立に参加
2001年

使いやすさの専門ノウハウの確立とユーザビリティビジネスを目指し株式会社ユー・アイズ・ノーバス設立、代表取締役

ヒューマンインタフェース学会評議員、ユーザビリティ専門研究会事務局、人間工学会アーゴデザイン部会幹事、東北工業大学非常勤講師、共著「GUIデザイン・ガイドブック」など

 

5.製品版の評価レポート

黒須 正明(メディア教育開発センター)

ユーザビリティテストは、現在は製品開発における設計担当へのフィードバック(formative testing)という目的で主に用いられているが、それだけでなく完成した製品の利用品質を明示する手段(summative testing)としても用いられ始めるようになってきている。後者の目的で報告書を作成するとき、それは製品調達における有用な情報となりうるが、一定の書式があった方が、納入側としては比較検討が可能になるためありがたく、そのような書式の制定が求められていた。今回紹介するCIFはアメリカで検討され、現在ANSI規格となっているもので、ISO規格への提案が行われている。この報告書の文書規格について、最新情報を交えながら紹介する。

講師略歴

1978年
早稲田大学文学研究科(博士課程心理学専修)単位取得満期退学、日立製作所に入社
1996年
中央研究所、デザイン研究所を経て、静岡大学情報学部情報科学科教授として赴任
2001年

文部科学省メディア教育開発センター教授として赴任
現在に至る

APCHI98大会委員長、IFIP TC13委員会日本委員、JIS TC159/SC4/SG4 主査、ヒュ-マンインタフェ-ス学会国際担当理事、INTERACT2001大会長などを歴任。著書に「認知的インタフェース」「ユーザ工学入門」など。

 

 


コース3「新技術・産業創出への挑戦」

(10:00-17:00)
司会:中川 正樹(東京農工大学)

国・大学の産学官連携、新技術・産業創出への取り組みから産学の橋渡しの提案、ベンチャーの起業、ヒューマンインタフェース技術を活かした産業創出への挑戦の事例など、本格的な産学官連携による新技術・産業創出に向けての現状を紹介し、議論を通して今後を展望する。

1. 国・大学の新技術・産業創出への取り組み

中川 正樹(東京農工大学)

  • 社会からの大学に対する期待
  • 米国の産官学連携に学ぶもの
  • テクノリージョンと大学
  • 新技術・産業創出への大学のイニシアティブ

専門分野:ペンインタフェース、手書きパターン認識、情報教育

主要著書:「二十一世紀 豊かな情報化社会の実現を願って-教育の視点から-」 情報処理学会 1999(共編著)
「ヒューマンインタフェース」 オーム社 1998(共著)

講演者略歴

 

2. 産業界と大学の橋渡し

白井 達郎(産学共同システム研究所)

  • 序論 (産学連携具体的事例の紹介)
  • 技術移転(TLO)に関する認識
  • 大学等技術移転促進法とは
  • 大学からの技術移転の促進イメージ図
  • 技術移転に関する大学内の体制環境の認識
  • 技術移転に関する具体的な認識について
  • 中国における産学連携

講演者略歴    

 

3. 産業創出へ個人の力を

紀 信邦(日本エンジェルズ・インベストメント株式会社)

  • 変貌しつつある日本の経済
  • 個人の創業、個人からの創業支援
  • 産業創出への国の支援策

専門分野:論理プログラミング・制約プログラミング、ベンチャー投資・育成

講演者略歴    

 
4. 身体的コミュニケーション技術ベンチャー

渡辺 富夫(岡山県立大学)

    ・生活情報技術としての身体的コミュニケーション技術
    ・産学連携ベンチャーの誕生
    ・産業創出への展開

専門分野:ヒューマンインタラクション

主要著書:「赤ちゃんの認識世界」 ミネルヴァ書房 1999(共著)
「ヒューマンインタフェース」 オーム社 1998(共著)
 

 


コース4「協調学習支援システムのデザイン:創発的分業の支援」

(10:00-13:00)
司会:加藤 浩(メディア教育開発センター)

昨今、企業内教育や通信高等教育の分野で遠隔教育サービスを提供するe- Learningがブームになっている。他方、教育の分野では学習のコミュニティへの参加を通した学習を重視する協調学習が近年注目されている。本来、 CSCL(Computer Support for Collaborative Learning)は協調学習の側から出てきた動きであるが、それがe-Learningと結びついて遠隔協調学習へと発展してくることは当然の展開であった。最近ではCSCLというと、まず遠隔協調学習を思い浮かべる向きもあると聞く。
しかし、現在の遠隔協調教育は、対面学習に匹敵するような参加意識や自己効力感が得られないことから、学習者の強い動機付けを維持することが難しく、なかなか効果が上がらない。やはり、遠隔協調学習にもまだ何かが足りないのである。
そこで、ここは一旦原点に立ち戻って、対面における学習を再検討する必要があるのではないだろうか。そして、対面と遠隔とを対比することによって、協調学習において何が本質的なのか、そして、遠隔教育に何が足りないのかが見えてくるのではないだろうか。本講習会では、対面での同期的協調学習支援に焦点を絞って、学習者が自らの身体を協調のための道具として用いるような学習環境を構築した事例をもとに、協調学習がどのように行われているかをビデオ分析等により具体的に明らかにし、対面の意味を探る。さらに、情報通信環境でそれのどこをどのように支援できるかを考えていきたい。

1. CSCL 概論

加藤 浩(メディア教育開発センター)

  • CSCLの学習理論的背景と意識
  • 学習と創発的分業
  • 協調における対象の共有と志向性の共有

専門分野:教育工学(協調学習、学習環境デザイン)

主要著書:「認知的道具のデザイン」 金子書房 (共編共著)
「CSCL2」 LEA (共著)
「プレゼンテーションの実際」(培風館)

 

2. 協調学習空間の創出

鈴木 栄幸, 舟生 日出男(茨城大学)

  • 対面環境における協調学習の支援 -アルゴブロック
  • 教室内LAN環境における協調学習の支援 -学級新聞作成支援システム
  • インターネット環境における協調学習の支援 -創発的分業支援システム

専門分野:教育工学、認知科学

主要著書:「認知的道具のデザイン」 金子書房 (共著)
「CSCL2」 LEA (共著)    

 

3. 協調学習支援を実現するインタフェース

楠 房子(多摩美術大学)

  • 仮想世界と現実世界をつなく協調学習支援  eプロジェクト
  • 博物館における空間支援 Pibook

専門分野:学習支援、CHI

主要著書:「Digital Cities: Technologies, Experiences, and Future Perspectives」 Springer-Verlag (共著)

 


参加費と参加申し込み

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