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倫理規定

特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会

 

ヒューマンインタフェース研究開発のための倫理指針

  ヒューマンインタフェース学会
   
    特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会では,ヒトを対象としたヒューマンインタフェース研究開発が多く議論されている.ヒューマンインタフェース学会での円滑な議論を活性化するために,本倫理指針を策定し,ヒューマンインタフェース研究開発分野でのヒトを対象とする研究(ヒトを研究対象とする工学的,医学・生物学的,心理・行動学的研究で,臨床上の医療及び治療行為に関わる研究開発以外のものをいう.以下「研究開発」という.)について,特に倫理面から研究開発実施者等が遵守することが望ましい事項を定める.研究開発実施者は,ヘルシンキ宣言(1964年世界医師会総会採択)の趣旨に沿った倫理的配慮のもと,次の各号に掲げる事項に留意する.
   
1. 目的
    この指針の目的は,企業,評価団体,研究機関,大学等の組織,あるいはそこに所属する研究開発実施者等が実施する研究開発において,研究対象者と製品開発のための実験・調査の対象者(以下,研究対象者と記す)および研究開発実施内容を倫理面から保護することにある.本指針は,この目的を達成するために,研究計画の立案,審査,研究の実施等において遵守すべき推奨事項や必要となる体制や責務等について定めるものである.
   
2. 研究開発実施者等が遵守すべき基本原則
2.1 科学技術的,倫理的妥当性の確保
    研究開発実施者は,研究開発を計画,実施するにあたって次の事項を遵守する:
(1)   研究開発の内容は,社会的,科学技術的に十分認められ,かつ研究対象者の尊厳および人権を尊重するとともに,研究開発を行うことにより,研究対象者に不利益及び危険が生じないよう安全の確保に十分配慮する.
(2)   研究開発を計画,実施するにあたっては,科学技術的妥当性,倫理的妥当性に十分配慮しつつ,研究を適正に計画,実施するために必要な情報を事前に精査し,これらを反映させた明確かつ具体的な研究開発計画書を作成する.
(3)   研究対象者,研究開発実施者以外の一般人に影響する研究開発,公共の生活環境等に影響を及ぼすおそれのある研究開発を計画,実施する場合には,一般人の活動や生活環境等を阻害せぬよう十分に配慮する.
   
2.2 研究対象者の人権と個人情報の保護
    研究開発にたずさわる者は,研究対象者が被るおそれのある不利益又は危険等について精査し,研究開発に参加することによって心身の問題や対人関係上の問題が研究対象者に生じないよう真摯に対処する.また,年齢,性別,人種,信条,社会的立場などの属性にかかわらず研究対象者の人権を尊重する.
    研究対象者に係るデータや情報等を適切に取り扱い,その個人情報を保護する.研究開発を通して知り得た個人情報を正当な理由なく第三者に漏洩してはならない.研究開発実施者がその職を退いた後も同様とする.


2.3 インフォームド・コンセントの受領
    研究開発を実施する場合には,事前に,研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則とする.研究対象者が被るおそれのある不利益又は危険等についての説明の内容,同意の確認方法その他のインフォームド・コンセントの手続に関する事項を研究開発計画書に記載する.説明を行う際には,研究開発に関して誤解が生じないように努め,研究対象者が自由意思で研究や製品開発のための実験・調査への参加を決定でき,また自由意思でこの参加を辞退できるよう配慮する.
   
2.4 成果の公表
    研究の成果を公表する場合には,研究対象者の個人情報やプライバシー等の保護に必要な措置を講じておかなければならない.
    観察を映像化する場合は,研究対象者の肖像権に配慮する.研究開発発表等で映像を使う際には,誰に対しどの場面を公開するかを研究対象者に示した上で諾否を得る.


2.5 倫理委員会等の承認
    研究開発において,実験に参加する研究対象者が不利益又は危険等を被らないよう研究対象者の心身の安全に責任をもつ.視覚刺激や聴覚刺激のような感覚刺激の強度の設定等の実験条件,実験室等の物理的な環境が研究対象者へ与える身体的・精神的影響を十分考慮し,慎重に実験計画を立てる.また原則として,研究の実施に先立ち,自らが所属する組織および研究開発が行われる組織の倫理委員会あるいは遵法性に関して責任を担務する者等に,具体的な研究計画を示し承認を受ける.研究開発成果の発表の際には,組織の倫理委員会あるいは遵法性に関して責任を担務する者等の承認を受けていることを前提とする.
   
2.6 代諾者による同意
    インフォームド・コンセントや観察の映像化の承諾等において,子供,障害や疾患を有する人,外国人など,認知・言語能力上の問題や文化的背景の違いなどのために,通常の方法の説明では理解を得られたと判断できない研究対象者の場合は,適切な方法や手段で説明することに努め,それでも諾否が確認できない場合や,本人の判断能力の有無が疑われる場合には,保護者や後見人などの代諾者に文書で同意を得る.
   
2.7 指導の責務
    大学その他の教育機関において学生等に対し研究の指導を行う者や,企業において研究開発の統括を行う者は,上記2.1 から2.6 までに挙げる事項その他必要な事項を遵守して研究を実施するよう,学生,研究開発補助者等を指導および監督する.
   
2.8 改廃 
    本指針の改廃は理事会において定める.
   以上
   
   (この倫理規定の策定にあたり,一般社団法人日本人間工学会の許可を得て,『人間工学研究のための倫理指針』を参考にさせていただきました)
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