特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会
論文誌編集委員会委員長の挨拶
ユーザー指向の論文誌を目指して
論文誌編集委員会委員長 安村通晃
論文誌編集委員会の委員長は、初代が西田正吾先生(大阪大学)、二代目が黒川隆夫先生(京都工芸繊維大学)で、私が三代目である。現在2年任期の最終年度で、この3月に次の新委員長となる片井修先生(京都大学)にバトンタッチの予定である。
学会で研究成果を発表し互いに交流する場としては、研究会やシンポジウムにおける口頭発表 と論文誌による論文発表などがある。論文誌編集委員会は、特集号の企画と募集、特集号および一般投稿論文の査読などの定常的な業務と論文賞の選考や論文査 読方法の改善や論文誌の電子化の検討などの非定常の業務とを行なっている。
論文を投稿する立場で見ると、投稿する雑誌は国内だけでも複数の可能性がある。そのどこに 投稿するかは、次のような選択基準があって行動しているものと想定できる。すなわち、(1)査読期間が短いかどうか、(2)適切な特集号があるか、(3) 公平な査読が行なわれるか、などである。
査読期間に関しては、この約2年間弱の期間を調べたところ、一般論文、特集号ともどちらも平均約5ヶ月である。比較的順調に査読が行なわれているともいえるが、あとで述べるように、論文投稿・査読の電子化などにより、さらにこの期間を短縮する必要がある。
特集号は、判定のデッドラインが示されているので、テーマさえ合えば、投稿予定者にとって は、一般投稿よりも特集号を狙うであろう。そのための適切なテーマ選択が必要である。これには、シンポジウムや研究会などで話題となったテーマに関する情 報を編集委員がすばやくキャッチすることが必要である。また、年4回の発行では、投稿者の期待するテーマが回ってくるまでの時間がかかりすぎる。そこで将 来的には、同じ号に複数の小特集号を組むようなことや年6回の発行なども視野に入れた検討が必要である。
公平な査読については、編集委員の見識が最も問われるところである。基本的には、論文の新規性と有用性、および論文の信頼性の3点で評価すべきであるが、新規性や有用性に関して、著者の考え方と査読者の考えが一致しないこともありうる。
査読というものは、(1) peer review、すなわち、専門家の仲間による評価であって、(2) 対象論文が論文としての体裁(信頼性)を備えた上で、新規性か有用性があれば受理すべきであって、(3)論文の最終的な評価は読者に委ねられ、(4)論文 内容の最終的な責任は著者にある、という基本的な考え方に立つべきであろう。
査読に際しては、減点主義ではなく加点主義で評価すべきである。すなわち、論文の不充分な 点を過大に評価するのではなく、何らかの優れた点があれば、それを前向きに評価すべきである。また、論文査読の照会に際しては、採録の条件を明示すべきで あって、採録条件と、論文を良くするためのコメントとは峻別すべきである。過去2年間弱の一般論文の投稿は32件(処理中のものを除く)であり、そのうち の17件が採録となったので、採録率は52%である。特集号の投稿は49件(処理中のものを除く)で30件が採録なので、採録率は61%である。さらに、 査読は2人の査読者によって行なわれるが、査読結果の判定が2人で割れたときには、担当編集委員がメタレビューアーとして、しっかりとした見識をもって判 断することになっている。
査読期間の短縮のため、査読状況の公開、電子投稿と電子的な査読を実施する方向で検討が進んでいる。また、論文誌のサーキュレーションを高めるため、および保存の点から、論文誌そのものの電子化も検討している。これらをなるべく早い時期で実施をしたいと考えている。